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【壊憲・改憲ウォッチ(5)】「緊急事態条項」の導入について(1)

2022年3月16日

飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)

2022年3月11日。東日本大震災からまる11年がたちました。ほんらいならすべての人が故郷に帰ることができているはずです。ところが東日本大震災や原発事故から11年たっても、避難者はまだ3万3365人もいます。

震災や原発事故に伴う避難の影響で体調を崩すなどで亡くなる「関連死」と認定された人は2331人、2021年の同時期から11人増えています。

「震災と原発事故から11年目を迎えようとしている現在も、長期避難による心労などが被災者を苦しめている」と指摘されています(『福島民報』2022年3月10日付)。

自民党・公明党政府はいったい何をしているのでしょうか? 東日本大震災から11年もたつのに、2021年から11人もの人が「関連死」で亡くなる状況で、自民党・公明党が十分な政治をしてきたと言えるのでしょうか?

いま国会では、自民党や日本維新の会、国民民主党が憲法改正により「緊急事態条項」を導入せよと強く主張しています。自民党などは「自然災害への対応」も口実にしています。

しかし、憲法を改正して「緊急事態条項」を導入して自然災害に対応できるようにすべきなどと主張する前に、自然災害で今、生活等が困難な状況にある人たちへ対応することこそ、政治に求められていることではないでしょうか?

被災者の支援に「緊急事態条項」は必要ありません。憲法改正により「緊急事態条項」を導入するよりも、いま自然災害で困難な状況にある市民への支援に、政治家は全力でとりくむべきと考えるのは私だけでしょうか?