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【壊憲・改憲ウォッチ(63)】高市首相下での衆議院冒頭解散報道と「憲法」

2026年1月13日

飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)

【1】解散報道

『読売新聞』2026年1月10日付は、「高市首相(自民党総裁)は9日、23日召集が予定される通常国会の冒頭で衆院を解散する検討に入った。衆院選は2月上中旬に実施される公算が大きい。首相は参院で少数与党が続いており、政策実現の推進力を得る必要があると判断したとみられる」と報じました。

【2】衆議院解散に関するネットの書込み

ふだんは高市首相をほめるコメントが多いですが、衆議院解散に関しては批判的な書き込みがほとんどです。

一部、紹介します。

●こんな大変な時期に選挙なんて国民の事を考えていない証拠です。
国民のことを考えていれば、物価高対策や円安対策を最優先でするはずです。
雪国では選挙に行くことすら困難になるかもしれません。
受験シーズンでもあり、選挙の騒音問題になるかもしれません。
高市には国民のことを少しでよいから考えてもらいたい。

●受験シーズン真っ只中での大音量選挙カーは絶対にやめてほしいです。

●12月には総理本人から解散しないとか抜かしてたのにも関わらず。
結局自分のことばかり。国民のことはどうでもいい。

●統一教会の文書に高市早苗という名前が32回出てきたことを追及される前に解散するということであればとんでもない。
反日カルト宗教の支援を受けている自民党に一議席たりとも与えてはいけない。
参政・維新・国民民主も同じ。

●こんな大事な時に600億円を使い選挙してる場合ですか?
そもそも、こんな厳冬期に選挙なんてやめてくれや。
選挙カーが雪で狭くなった道路走り回ることになって大迷惑。
札幌だと下手すると雪まつり会場で演説やるえげつない。

●自民党は昔から党利党略で解散する
物価高で苦しむ国民なんてどうでもいいだろう
ここで自民党が勝ったら暫定税率の穴埋めに増税するでしょう

●疑惑だらけの自民と維新による延命の一手。今で言うと高市総理の統一教会問題や外交問題、維新では公費の身内会社への還流やキャバクラ費、そして組織的国保逃れ疑惑。
目眩しのための総選挙にしか見えないです。これを許してたらいつまでも腐敗政治は終わらないと思います。

●選挙には多額の税金がかかる、その税金を与党が私物のように使うことにも怒りを覚えてます。なのでどうせやるならほくそ笑んでいる人たちを倒す方向に力を使いましょう。

●これまで予算の年度内成立が重視されていたにもそれを覆すような暴挙ですがそれほどの緊急性があるのでしょうか?
今のうちにやれば勝てるとかそんな不純な目的のために国民の生活を犠牲にするとはこの政権の本質が出ているような気がします。

●いま噴出している問題を有耶無耶にし、支持率の高い有利な状況で選挙を行いたいのだろう。
そこに、国民生活に配慮した考えなどない。
衆院解散総選挙には莫大な費用もかかる。本来、国会で行うべき予算編成を放置しての選挙などあり得ない。

●どう考えても、前向きな解散ではなく、不都合な事実の追及を恐れた解散としか見えないけどなぁ…..
①統一教会内部文書
②台湾発言による中国からのレアアース輸出停止
③政治と金の問題
どれも自民党にとっては劇薬になる案件ばかりだからね

【3】千葉県の熊谷知事の発言

『毎日新聞』2026年1月11日付〔電子版〕の記事を引用します。

「衆院解散を巡る報道を受け、千葉県の熊谷俊人知事は11日、X(ツイッター)で『首相が自由に解散権を行使できる制度は早期に見直すべきだ』と問題提起した。

熊谷氏はまず、前回衆院選から1年3カ月しかたっておらず『毎年のように国政選挙に駆り出される自治体職員の気持ちを思うと、いたたまれない気持ちになります』とつづった。  

自治体は今、予算関連の業務で最も多忙な時期だと指摘。高市早苗政権が打ち出した物価高対策の実行に向けて自治体が取り組む中で、選挙業務の負荷までかかることに苦言を呈した。衆院解散で年度内に成立するはずだった国の予算案や法案が成立しなければ、自治体の業務にも影響すると示した。」

【4】憲法的考察

政治家たちは、「衆議院の解散は総理の専権事項」といった主張をしています。

ただ、憲法上、「衆議院の解散は総理の専権事項」との主張は正しくありません。

衆議院の解散については憲法学界でも議論が交わされてき、裁判でも争われてきました。

憲法の学習に際して多く活用されている、芦部信喜著/高橋和之補訂『憲法』(岩波書店)は「衆議院解散」について、「解散は国民に対して内閣が信を問う制度であるから、それにふさわしい理由が存在しなければならない」と指摘します(第4版、318頁)。

さらに「内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は、不当である」と指摘します(319頁)。

高市首相が検討したと報じられる解散、「ふさわしい理由」が存在するのでしょうか?

かりに衆議院冒頭解散がなされれば、予算の年度内成立は困難になり、「物価高対策」など、国民生活に大きな影響が出ます。

私は教師として危惧する一つが、衆議院冒頭解散となれば入試期間に重なり、多くの受験生は静かな環境で最後の追い込みの勉強ができなくなります。

将来を担う人たちのことを考えているのでしょうか?

2017年の安倍首相〔当時〕の衆議院解散、『朝日新聞』2026年1月12日付社説は「安倍氏は少子高齢化と北朝鮮の脅威に対応する『国難突破解散』と称したが、森友・加計学園問題を避ける狙いもあったことを、後に回顧録で認めている」と書いています。

韓国紙が報じた統一協会の内部文書では、2021年の衆議院選挙で統一協会が自民党議員290人を応援したこと、高市早苗首相の名前が32回登場していることが明らかになりました。
 
統一協会との関係や「裏金」問題の追及を避けるための衆議院解散になれば、「私利私欲」「党利党略解散」であり、憲法的に正当化できません。

いま、600億円以上も予算がかかる衆議院選挙をしようとすることを私達は許すのでしょうか?

かりに高市首相が冒頭解散に踏み切れば、私達は主権者として選挙で適切に意志を示す必要があります。