【壊憲・改憲ウォッチ(51)】自民党・公明党政権下での子どもの貧困と軍事費大増額
飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)
『琉球新報』2025年5月26日付〔電子版〕。そこには、「『食料買えなかった』6割近く 子どもの貧困に物価追い打ち ……24年度沖縄こども調査」との記事が掲載されています。
「食料が買えなかった経験について『よくあった』『ときどきあった』『まれにあった』の合計は、中2の保護者の困窮層で15年には48.7%だったが、24年は58.2%に上昇した。非貧困層でも20.9%から1ポイント増えた」と紹介されています。
2023年9月から2024年8月まで、私は沖縄大学で内地留学をしていたために沖縄のスーパーに頻繁に行きました。
スーパーなどでは子どものための食料の提供を求めるコーナーを見かけることもありました。
沖縄だけではありません。
2025年5月、私は石破首相の地元である鳥取に講演に行きましたが、鳥取のコンビニでも子どもへの食料の提供を求めるコーナーを見かけました。
2022年11月29日、衆議院予算委員会で立憲民主党の渡辺創議員は「義務教育段階での給食の無償化、次のパネルになりますけれども、文科省の各種の調査を基にして文科省に出していただいた数字を基にすれば、パネルにありますように、4386億円で実現できるとなっています」として給食費の無償化を求めました。
それに対して岸田首相は、「今般の物価高騰に対しては、政府において、3月、4月、7月、9月、累次の対応を講じており、地方創生臨時交付金の活用を促すなどにより、99%の自治体において学校給食費の値上げが抑制されている、保護者の負担軽減が進んでいる、こうした取組は進んでいると認識をしております」と答弁、国の予算による給食無償化を否定しました。
2022年12月16日、岸田自公政権は「安保3文書」で軍事費の大増額を決めました。
5年間で約43兆円と言われますが、実際には60兆円近い軍事費が費やされます。
年間約1兆円もの軍事費の増額をする一方、年間4400億円で可能な「給食無償化」をしないのが自民党・公明党の政治です。
軍事費を大増額させる一方、子どもたちの成長や幸福に極めて重要な「給食」に国の予算を支出しようとしない自民党・公明党の政治、どう考えますか?
自民党・公明党はがん患者たちから治療の機会を奪う危険性のある「高額療養費」の自己負担額の引上げをしようとしました。
しかし2025年3月に見送りました。
見送った理由、それは参議院選挙で自民党や公明党が負けるのを避けるためです。
「高額療養費の自己負担額の見送り」が示すように、「選挙」は私たちのいのちや暮らしに大きな影響を及ぼします。
私たちの「くらし」を良くするためには、国政・地方レベルでの選挙、国政レベルでは7月の参議院選挙でも主権者として適切な意志を示すことが大切です。
※「軍事費大増額」や「南西諸島への自衛隊配備」に関する「戦争をさせない1000人委員会」作成の地図を掲載する『地平』2025年7月号の私の原稿もご覧ください。
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