• リスト

【報告】12.2安保法制違憲訴訟(国家賠償請求) 第2回口頭弁論・報告集会が行われる

2016年12月8日

安保法制違憲訴訟 12月2日東京地裁 国賠訴訟で第2回目の口頭弁論 原告が意見陳述

161202iken1

「安保法制」(戦争法)が憲法に違反し、人格権や平和的生存権、憲法改正決定権を侵害しているとして、原告497名が一人当たり10万円の損害賠償を求めた国賠訴訟第2回口頭弁論が、12月2日、午前10時半から東京地裁で開かれました。当日は、早期結審・門前払いを意図する国側が、意見陳述を行わず、原告側のみの意見陳述となりました。原告団30名と満員の傍聴者約100名が見守る中、原告の3人と代理人弁護士3人の計6人がそれぞれ「憲法に違反した安保法制が、いかに人格権、平和的生存権が侵害しているか」について陳述しました。

161202iken2

原告の本望隆司さんが船員として

原告の本望隆司さんは、タンカー等の船舶の乗組員として長年勤務してきた船員の立場から「イラン・イラク戦争の際には、ペルシャ湾通行の船舶は407隻が被弾し333人が死亡、317人が負傷した。しかし、日の丸を描いた日本船は被害ゼロだった。それは日本には憲法9条があり、日本がどこの国にも武力で加担しない中立国であるとの認識が国際的に確立していたからだ」と指摘。そのうえで、「2次世界大戦中に民間の船舶が徴用されたが、攻撃対象となって日本の船員の約半数が犠牲になった。これを繰り返さないという『船員不戦の誓い』は日本の海運界の切実な願いだ」と訴え、「しかし、政府が憲法9条の精神を捨て海外での武力行使が可能になるなら、日本の船舶もテロや戦争に巻き込まれる危険がたかまることとなる。その危険性に恐怖を感じる。」と陳述しました。

原告の牟田満子さんが被爆者として

原告の牟田満子さんは、長崎原爆で被爆した被爆者として陳述。9歳の時被爆し、母と妹を亡くした被爆体験と戦後のつらい人生に触れながら、「戦争さえなければ、原爆さえなかったらと何度も思った。戦争を心から憎み、これまでの人生を踏みにじってきた戦争を許すことができない」と訴え、「昨年9月の安保法制の強行採決を見て、こんな法律を作った政治家たちは戦争のことは何もわかっていない。絶対にあの悲劇は繰り返してほしくはない。被爆者の願いを受け止めてください」と語りました。

原告の安海和宣さんが牧師として

原告の安海和宣さんは、キリスト教会の牧師として、「平和憲法のブランド、輪を重んじ、敵対する相手にさえ敬意をはらう精神は、キリストの教えと一致する。」と語り、「安保法制の施行は、宗教活動が制限され・迫害を受けるのではないかという不安と危惧を抱かせるものだ。」と訴え、戦時中のキリスト教への迫害に触れ「231人の牧師が逮捕され300以上の教会が閉鎖。戦争への協力をさせられた。戦争法によって、海外で活動する宣教師たちの命と宣教を危険にさらすリスクを格段に高まることとなる。宗教者として安保法制の違憲性が証明され、廃止されることを願いつつこれからも声を上げてまいります」と陳述しました。

国賠訴訟第2回報告集会を開催、150名が参加

裁判終了後、13時から参院議員会館で、150名が参加して報告集会が開催されました。集会は、杉浦ひとみ弁護士の司会で進められ、主催者を代表して違憲訴訟の会共同代表の寺井一弘弁護士が挨拶し「国側の意図は、違憲かどうかを争わず門前払いすることだ。我々の力で裁判所を追い詰め、監視しなければ、即刻、却下される恐れがある。一歩のひかない覚悟で、たたかい続けていかなければならない」と訴えました。

また、伊藤真弁護士が今日の第2回口頭弁論の内容について報告。「今日は、国側の答弁書にある『原告の主張する権利は保護するに値しないもので、憲法問題は争点にならない』とする主張への反論を意見陳述した。平和的生存権、人格権、憲法改正決定権について、原告代理人の弁護団3人が述べ、原告の3人が具体的権利侵害の内容を陳述した。」と報告しました。

また、意見陳述を行った原告の3人や、代理人の弁護士がそれぞれ発言し、陳述の内容の報告や感想を述べました。

その後、11月22日に東京地裁へ国賠訴訟の第2次提訴を行った原告代理人の角田由紀子弁護士が「865人の原告で第2次提訴を11月22日に行った。今後。第1次提訴457人の原告団と併合し総勢1322人の原告団として裁判を進めることとなる。」と報告しました。そして、集会参加者との意見交換を行い、「違憲訴訟女の会だが、106人の女性だけの原告で提訴した。1月17日にシンポジウムを開催し、2月10日が第1回公判だ。ぜひ参加を!」「さらに原告団を増やし提訴を全国に拡大すべきだ。」「原告団の全国組織をぜひ!」「今日は傍聴の抽選がなかったが、傍聴席がほぼ満席になった。絶えず世論が監視していることを裁判所に示すためにも、満席になるよう声を掛け合おう」等の意見や報告が出されました。

最後に、寺井一弘弁護士が全国の状況と今後の方向についてふれ、「現在まで、4638名の原告が集まり、東京・福島・高知・大阪・長崎・岡山・埼玉・長野・神奈川・広島・福岡の11カ所14の提訴を行っている。今後、京都・山口・大分・札幌・宮崎・群馬・鹿児島が続く予定だ。また、沖縄のたたかいと連動するため、沖縄でも提訴を準備し、来年3月までには20カ所の裁判所で提訴したい。また、原告弁護団の全国ネットワークも結成しているが、原告団の全国的集会なども検討したい。」を報告し、集会を終了しました。