公明党が「集団的自衛権」行使容認に合意しないことを求める要請
戦争をさせない1000人委員会が発出した、公明党の山口那津男代表に対する、「集団的自衛権」行使容認に合意しないことを求める要請文書です。
2014年6月20日
公明党代表
山口那津男 様
戦争をさせない1000人委員会
事務局長 内田雅敏
日中間の関係改善は、「集団的自衛権」で対峙することではなく、
日中共同声明の再確認で(ご要請)
公明党の日本の社会施策への取り組みに敬意を表します。
閣議決定で「集団的自衛権」行使の容認をするかどうかの与党内における議論が、大詰めを迎えています。容認ということになれば、戦後69年間、この国の安全保障政策の根幹を成してきた「専守防衛」の根本的な変更であり、自衛隊が他国の戦争に狩り出され,そこで、殺し、殺されるという事態が招来されることは必至です。
安倍首相は、わが国の安全保障をめぐる環境が大きく変わったと言います。確かに今、日中、日韓関係は最悪です。しかしだからと言って、「集団的自衛権」行使を容認し、わが国の安全保障政策を根本的に変更させることによって日中、日韓関係を改善することができるでしょうか。そもそも日中、日韓関係が悪化した理由は何か。それは、領土問題や靖國神社参拝問題、歴史認識をめぐっての対立、そして、これを好機とばかりにナショナリズムを煽り立てる日本、そして中国・韓国の政治的姿勢にあります。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は2013年12月30日付の記事で「現職の首相として、2006年以来初めてとなる安倍首相の靖国参拝は、日本の軍国主義復活という幻影を自国の軍事力拡張の口実に使ってきた中国指導部への贈り物だ」と指摘しています。
今、日中の関係を改善するために必要なことは、先の戦争をアジア解放の「聖戦」であったなどという、世界に全く通用しない歴史観を広言する靖國神社の参拝をやめ、領土問題については棚上げし、1972年9月29日、田中角栄首相と周恩来首相によりなされた日中共同声明の精神に戻ることです。
同声明前文は、「日中両国は一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終始符を打つことを切望している。戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は両国関係の歴史に新たな一頁を開くことになろう」「両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは両国国民の利益に合致するところであり、またアジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである」と謳っています。
同声明本文第6項は、日中「両国は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国と中国が相互の関係において、すべての紛争を平和的手段によって解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」と謳い、さらに同7項において「両国のいずれもアジア太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国、あるいは国の集団による試みにも反対する」と謳っています。
この反覇権条項については16年後の1988年の日中平和友好条約締結に際しても論議となり、これを渋る日本側に対して、中国の鄧小平主席が、「この反覇権条項は、将来中国が覇権国家にならないためにも必要なのです」と、日本側を説得したという事実もあります。
日中国交正常化のための田中首相の訪中に先だって、公明党が積極的な役割を果たしたことは歴史的な事実としてよく知られています。「平和の党」としての公明党が、その役割を果たしました。
公明党は、安倍首相に引きずられ、「集団的自衛権」行使容認によって中国と対峙するのでなく、前記のような党の先輩たちの果たした歴史的役割を踏まえ、日中の対話によって悪化した日中間の改善に取り組み、「両国間にこれまで存在した不正常な状態に終止符を打つことを切望している日中両国国民」の期待に応えるべきです。
「戦争をさせない1000人委員会」は、「平和の党」としての公明党の決断を心から希望します。
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