【壊憲・改憲ウォッチ(64)】「戦争する国づくり」に前のめりな高市自民・維新政権について
飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)
高市自民・維新政権は、
(1) 非核三原則の見直し
(2) 武器輸出三原則の緩和
(3) 安保3文書の前倒し改定
(4) 軍需工場の国有化
(5) スパイ防止法制定
など、「戦争する国づくり」を進めようとしています。
(1)非核三原則の見直し
非核三原則の「持ち込ませず」が見直されれば、核兵器を搭載した米艦船が日常的に日本に寄港する可能性が生じます。
米軍の核兵器が日本に常備させられる可能性すら生じます。
かつて沖縄には最大1300発の核が配備されていましたが、再び沖縄に米軍の核兵器が公然と配備される危険性があります。
沖縄だけでなく、日本各地に核兵器が常備される可能性があります。
(2)武器輸出三原則の緩和
いま、武器輸出三原則(政府の用語では「防衛装備移転三原則」)の運用指針では、武器輸出が認められるのは「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の「5類型」だけとされ、殺傷能力のある武器輸出はできないとされます。
しかし2025年12月15日、自民党と日本維新の会は与党協議を開き、「武器輸出三原則」の5類型撤廃にむけ協議をはじめました。
武器輸出三原則の「5類型撤廃」に関しては、自衛隊の準機関紙である『朝雲』2026年1月15日付も、「5類型が撤廃されれば、現在は原則として禁じられている殺傷能力のある装備品の輸出も事実上の全面解禁となる」と指摘します。
(3)安保3文書の前倒し改定
安保3文書の前倒し改定により、南西諸島・九州の自衛隊配備・強化は加速します。
安保3文書の前倒し改定では「原子力潜水艦」導入も目指されます。
原潜が導入されれば長距離・長期間の移動や潜航が可能になるため、具体的には外国近海まで原潜が近づいて外国領土に長距離ミサイルを発射することが可能になるため、「専守防衛」の空洞化は一層進みます。
(4)軍需工場の国有化
『朝日新聞』2026年1月25日付1面は、「弾薬工場の国有化検討 政府・与党 有事に安定供給へ」との記事を掲載しています。
2025年10月20日、自民党と日本維新の会は「連合政権合意書」を交わしました。そこでは、「防衛産業に係る国営工廠及び国有施設民間操業(GOCO: Government Owned, Contractor Operated)に関する施策を推進」するとしています。
GOCOはアメリカにならい、軍需産業を国有化して民間企業に委託し、弾薬などを生産する方式です。
防衛省はすでに関連企業との協議をはじめています。
(5)スパイ防止法
スパイ防止法がどのような事態をもたらすのか。
いろいろ問題がありますが、ここでは「沖縄戦」との関係を紹介します。
「沖縄戦」を振り返ると、久米島での日本軍による住民虐殺に代表されるように、「スパイ防止」の名目で日本軍が沖縄の人たちを虐殺しました。
『琉球新報』2025年7月10日付では、日本兵による直接殺害は298人、間接殺害を含めると4766人の日本人が虐殺されています。
「戦争マラリア」の悲劇も、日本軍が疎開を強制した背景には食糧確保とスパイ防止という目的がありました。
宮古島には少なくとも18カ所、沖縄全体で140カ所以上の「慰安所」がありましたが、「慰安所」設置の目的の一つが「スパイ防止」でした。
2月8日の衆議院選挙で自民党や日本維新の会、参政党が議席を増やせば、非核三原則の見直し、武器輸出三原則の緩和、安保3文書の前倒し改定、スパイ防止法制定などが加速し、「戦争する国づくり」が進む可能性があります。
このことを念頭に置き、主権者として投票に臨むことが大切です。
※今回の記事については、以下の内容もご覧ください。ネットで入手可能です。
【壊憲・改憲ウォッチ(62)】「非核三原則」の見直しに関して」
【壊憲・改憲ウォッチ(59)】久米島での日本兵による住民虐殺
【壊憲・改憲ウォッチ(44)】宮古島と日本軍の「慰安所」
「「沖縄戦」の悲劇から「平和」を考える―「戦後0 年」の沖縄を念頭に―」(『名古屋学院大学論集 社会科学篇62巻2号』)……「戦争をさせない1000人委員会」連続企画での講演内容(2025年6月18日付)です。
