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【壊憲・改憲ウォッチ(1)】2021年12月16日の衆議院憲法審査会での改憲政党の主張

2022年2月16日

飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)

2021年10月31日の衆議院選挙で、改憲勢力である自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党は衆議院の議席の3分の2以上の議席を占めました。これらの改憲政党は改憲にむけた言動を活発化させています。また、南西諸島・九州への自衛隊配備・強化、「敵基地攻撃能力の保有」など、「戦争できる国づくり」をすすめる「壊憲」政治も岸田自公政権下でも進められています。

今後、毎週水曜日を目途に(多少、前後することもあります)、壊憲・改憲の動向とその問題点を紹介していきます。

【1】2021年12月16日の衆議院憲法審査会での改憲政党の主張

2021年12月16日、参議院予算委員会開催と同時に、衆議院で憲法審査会が開催されるという、異例の事態となりました。ここでは衆院憲法審査会でどのような改憲項目の主張がされたのかを紹介します。

(1)自民党
新藤義孝議員は「自衛隊の明記、緊急事態条項、合区解消・地方公共団体、教育充実の四テーマを、既にこの憲法審査会において議論のたたき台として提示をさせていただいております」と発言しました。

(2)日本維新の会
馬場伸幸議員は「日本維新の会は、……2016年3月、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の3項目から成る憲法改正原案を取りまとめました」と発言しました。足立康史議員は「9条についてはいろいろな意見が出ておりますが、我が党はまだ具体的な案を出しておりません」としながらも「大変奥行きの深いテーマ」と発言しました。

(3)公明党
北側一雄議員は「憲法審査会で今後論議すべきテーマについて、次の3点を提案をしたいと思います。まず第一に、緊急事態において国会の機能をどう維持するかというテーマ」、「第二に、デジタル社会における人権の保障と民主主義というテーマ」、「第三に、地球環境保全の責務というテーマ」と発言しました。憲法審査会については「国会会期中の週一回の定例日には憲法審査会を開催すべき」と発言しました。

(4)国民民主党
玉木雄一郎議員は「統治分野での憲法改正の必要のある項目として議論しなければならないのは、……緊急事態条項の議論をすべき」、「あえて申し上げれば、緊急事態条項自体が危ないのではなく、まともな緊急事態条項がない中、曖昧なルールの下で憲法上の権利が制限され得る状態こそが危ないと考えます」と発言しました。そして「次に、人権分野に関しては、やはりデジタル時代のデータ基本権の議論を深めるべき」と発言しました。

【2】「不要・危険・無駄」な自公維国の改憲項目

以上、改憲勢力が主張する改憲項目を紹介しました。自民党・公明党・日本維新の会・国民民主党などの改憲4政党が主張する改憲案は①法律で対応可能(環境権、データ基本権、教育無償化、参議院の合区解消)、②危険・無謀(自衛隊明記の憲法改正、緊急事態条項、憲法裁判所の設置、統治機構改革)、③税金の無駄遣い(国会議員の任期延長、オンライン出席等)です。今後、「壊憲・改憲ウォッチ」でその問題を指摘します。