【壊憲・改憲ウォッチ(13)】「消費税」「防衛費」についての各党の主張を考える
飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)
いま、日本でも物価高となり、生活に大きな負担となっています。そこで立憲民主党、共産党、日本維新の会、社会民主党、れいわ新選組などは消費税率の引下げを主張しています。
一方、自民党や公明党は消費税率の引下げに反対しています。6月19日、自民党の茂木幹事長は、消費税率を引き下げたら年金財源を3割カットしなければならない旨の発言をしました。
また、自民党は防衛費を対GDP比2%以上、つまり5兆円以上の増額を主張しています。日本維新の会も「防衛費の増額(GDP比2%)」を主張しています。
『東京新聞』2022年6月3日付の試算では、かりに5兆円あれば、年金受給者全員に年12万円の増額が可能とされます。小学校・中学校の給食費は約4800億円あれば無料にできます。大学の授業料も1兆9000億円あればすべての学生の授業料を無償にできます。
実際には、年金は2022年6月から減額されています。大学の授業料を払うことができずに退学する学生、退学に至らなくても留年やアルバイトに追われるなど、大変な状況にある学生も少なくありません。
コロナ禍で職を失う人々が増えました。失業者が増えれば自殺者も増える傾向がありますが、実際に自殺者も増えています。2022年6月の破産は過去最多、7月1日16時時点ですでに26件の破産が出るなど、「コロナ破綻が再び増加傾向」と指摘されています。そうなれば生活がさらに大変になる人、自殺者も増加する危険性があります。
こうした現状を踏まえ、自民党・公明党のように、消費税率を引き下げないのが適切でしょうか? さらには自民党や日本維新の会、公明党が主張・支持するようにGDP比2%(以上)に防衛費を増額すべきでしょうか?
なお、日本維新の会は2021年の衆議院選挙の際、「減税」を公約にしたこともあり、議席を増やしました。ところが選挙後、足立康史議員は「総選挙前ドタバタの中で落とした資産課税について、本当に党として『捨てる』ということでいいのか事後検証したかった次第です」(2022年1月4日付ツイッター)のつぶやいたことが公約違反との批判を受けています。
「資産課税」とは貯金に課税をするということですが、日本維新の会足立議員のこうした主張が「選挙公約」と批判され、ネットでは炎上しています。
自民党や日本維新の会はGDP比2%(以上)の防衛費増額を主張しますが、増額の財源は何でしょうか? 消費税の増税でしょうか? 他の財源の削減でしょうか? 本当にそれでいいのでしょうか?
そして実際の防衛費も、「壊憲・改憲ウォッチ(12)」で紹介したように、無駄遣いがされています。防衛費を5兆円も増額をするよりも、とりわけコロナ禍で大変な状況にある市民への対策に国は重点的に予算を使うべきでないでしょうか?
私たちのくらしや生活が良くなるためには、選挙に行き、主権者として適切に判断することが必要です。
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