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【壊憲・改憲ウォッチ(32)】統一協会と親密な(自民党などの)改憲運動

2023年7月10日

飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)

【1】 TBS「報道特集」から

2023年7月8日、TBSの「報道特集」では、「『あ、この人! 教会長です』岸田総理参加の“改憲集会”の準備に…旧統一教会・信者の姿 直撃すると『手伝っちゃいけないですか?』」が放映されました。

放映された内容はインターネット記事でも閲覧できます

記事では「旧統一教会と政治のかかわりが問題になってから1年。岸田首相は「関係を断つ」と明言してきました。その岸田首相ら国会議員が参加した集会に、教団の関連団体が信者の動員を呼びかけ、信者が会場の準備を手伝っていたことが分かりました」と紹介されています。

以下、この記事への書き込みを紹介します。

(1)Aさん

「たまたまこの番組を見ましたが、統一教会と政治(主に自民党)との関係は変っていなかったですね。……公明党の北側さん、維新の馬場さん、国民民主の玉木さんも出席していて、嬉しそうにひな壇に並んでいました」。

(2)Bさん

「こんな人達で新しい憲法作られたら 国民ないがしろの憲法になるのるのは間違いない。日本の宗教団体の優遇は異常であるがそれを1番優遇しているのは自民党政権。公明党も選挙中は創価学会員から電話応援がすごい。宗教団体を味方にすれば、選挙の応援団がお金もかからず、応援者が出来、選挙資金も援助。その替わりに宗教団体の政治後押し、優遇。 憲法改正より、政治家、議員改革が最優先」。

(3)Cさん

「岸田氏の二枚舌政治がここでも発揮されているようです。この岸田氏、自分で自民党は統一教会と縁を切ると言っていながらいまだに自身が率先して教会信者が協力する会合に参加し、平気で挨拶をする。また、この会を主催した組織も自民党である。このことから、自民党と統一教会は一心同体であることが明白であると同時に同じ宗教団の公明党、保守系野党の維新、国民も昨年の被害者救済法案成立に際して根抜きにした理由も会合に出席したことからも明白である」。

(4)Dさん

「憲法改正を進める”改憲集会”に岸田首相も参加するのですがこの手伝いや動員に旧統一教会こと世界平和統一家庭連合の関係者(教会長)や信者が総動員されていたのですね・・・・ 一体誰のための憲法改正つまり改憲なのでしょうか。 特定の宗教しかも外国のカルト宗教の影響力を受けた改憲だと分かれば多くの人特に愛国保守派や保守派の人や組織・団体も手のひら返しで一転して反対に転じますよ」。

【2】 統一協会と親密な関係にある日本の憲法改正運動

5月26日に「新憲法制定議員同盟」が開催した「安倍晋三名誉会長を偲び、新しい憲法を制定する推進大会」で岸田首相は、「国際社会が歴史的転換期を迎えている時だからこそ、私たちは憲法改正に強い思いを持って挑戦しなければならない」と述べました。

公明党の北側一雄副代表は、緊急事態時に国会議員の任期延長を可能にするための改憲に言及し「相当議論が煮詰まっている」と強調しました。

日本維新の会の馬場伸幸代表は「いよいよ憲法改正の時がやってきた」と指摘、自民党が改憲を党是としていることを挙げ、「看板倒れにならないよう、われわれはエンジンをかける役割を担う」と発言しました。

国民民主党の玉木雄一郎代表は、来年の通常国会で改憲に向けた国会発議を実現すべきとの考えを示しました。

このように5月26日の「安倍晋三名誉会長を偲び、新しい憲法を制定する推進大会」では自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの改憲勢力が憲法改正にむけての意気込みを語りました。

そしてこの集会の準備には統一協会も協力し、参加に動員をかけていたのです。

【3】統一協会と濃厚接触、自民党改憲論

このように、日本の憲法改正の動きと統一協会は濃厚接触を維持したままです。

自民党が熱心に主張する「自衛隊明記の憲法改正」も、安倍首相が提唱する前に「統一協会」が主張していました。

自民党の「自衛隊明記の憲法改正」が統一協会の影響を受けていないと言い切れるでしょうか。

自衛隊明記の憲法改正をはじめとする自民党改憲案と統一協会の濃厚接触の問題は、【壊憲・改憲ウオッチ(17)】統一協会と濃厚接触の自民党の「改憲」をご覧ください。

【4】憲法改正で外国政府や外国集団の影響を排除しない自民党・公明党・日本維新の会

さらに改憲手続法(憲法改正国民投票法)と統一協会の問題点も指摘します。

「改憲手続法」(憲法改正国民投票法)について、立憲民主党や共産党は、外国政府や外国勢力の影響を排除するための法整備を主張しています。

一方、自民党、公明党、日本維新の会は、外国政府や外国勢力の影響を排除するための改憲手続法の改正に反対してきました。

外国政府や外国の集団の影響を受けるのであれば、国のあり方を決めるのは国家構成員としての「国民」という「国民主権」(憲法前文、1条)から正当化できません。

自民党が外国政府や外国集団の影響を排除する法改正に反対するのは、普段の選挙だけでなく、憲法改正国民投票や運動の場面でも「統一協会」の支援を受けようとしているからではないでしょうか?

実際、自民党はいまでも統一協会から選挙、さらには5月26日の集会のように、憲法改正運動の支援を受けています。

少なくとも外国政府や外国集団の影響を排除する法改正は必要ないという立場の自民党・公明党・日本維新の会は、外国政府や外国集団が憲法改正に影響を及ぼすことを黙認することになります。

外国政府や外国の集団が憲法改正に影響を及ぼすなどは最たる「主権侵害行為」です。

ほんらい、5月26日の「安倍晋三名誉会長を偲び、新しい憲法を制定する推進大会」に外国の組織であり、統一協会が協力し、動員をかけていたことなどは、自称愛国者や右翼こそ激しく批判すべきことです。

「安倍晋三名誉会長を偲び、新しい憲法を制定する推進大会」に統一協会が協力していたことを問題にせずに放置するというのであれば、統一協会と濃厚接触関係にある自民党だけでなく、公明党・日本維新の会・国民民主党も、日本の憲法改正の場で外国組織である統一協会が支援・協力するのを認めていることになります。