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【壊憲・改憲ウォッチ(34)】殺傷能力のある武器輸出を目指す岸田自公政権

2023年9月26日

【1】 殺傷能力のある武器輸出をめぐる岸田自公政権のうごき

岸田自公政権はさまざまな形で「戦争する国づくり」を進めています。その一つとして、殺傷能力のある武器輸出を認めようとする動きにも警戒が必要です。

2022年12月に岸田自公政権が閣議決定した「安保3文書」の一つ、「国家安全保障戦略」20頁では、「安全保障上意義が高い防衛装備移転や国際共同開発を幅広い分野で円滑に行うため、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討する」とされました。この「見直し」として、岸田自公政権は殺傷能力のある武器の輸出を認めようとしています。

当初、広島のG7でウクライナへの殺傷武器輸出を表明するため、4月、5月、武器輸出のルール見直しにむけた自民党・公明党の実務者協議が頻繁に開かれました。

こうした点でもG7を岸田首相の成果と評価することはできませんが、実際にはG7でウクライナへの殺傷武器提供の表明は見送られました。そこで実務者協議はトーンダウンしますが、殺傷武器輸出の協議を早めるように指示した人物がいます。岸田文雄首相です。

岸田自公政権は①アメリカの要請、②中国への対抗、③外国との武器の共同生産、④日本の軍事産業の育成等を目的に、殺傷能力のある武器輸出を可能にしようとしています。

【2】憲法から正当化できない殺傷武器輸出

(1)「平和主義」「国際協調主義」から正当化できない殺傷武器輸出

殺傷武器の輸出は憲法的に正当化できません。殺傷武器輸出は「国際紛争」「戦争」「専制と隷従、圧迫と偏狭」を国際社会からなくすことを求める憲法の「平和主義」からは到底、正当化できません。

防衛業界支援・育成という目的からの殺傷武器輸出も、「戦力の不保持」を定めた憲法9条から正当化できません。

安保3文書でも「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)のように中国包囲外交を掲げていますが、中国包囲外交の一環として殺傷武器を輸出するのであれば、「国際協調主義」(憲法前文等)からも正当化できません。

(2)民主的政策決定をしない岸田自公政権

岸田自公政権下での殺傷武器輸出の動きは民主主義という視点からも正当化できません。

『東京新聞』は2023年8月26日付社説で「政府と与党だけの密室協議で従来の政府見解を次々と覆していくのは、敵基地攻撃能力の保有容認や防衛予算『倍増』など安保政策を大転換した昨年末の国家安全保障戦略と同じ手法」と批判します。岸田首相は「聞く力」「丁寧な説明」などと言いますが、いつも丁寧な説明をせず、十分な国民的議論も国会審議もないまま国の重要事項を決定・転換してきました。林吉永元空将補は「殺傷兵器を輸出することになれば、内戦に使われたり、紛争助長につながったりする恐れがある。輸出先の国と敵対する国から日本が敵視されるなどでメリットもあり、国を巻き込んだ議論をしないといけない」と指摘します(『東京新聞』2023年8月24日付)。

殺傷武器輸出にむけた動きを十分な説明と国民的議論もしないで進めてきた岸田自公政権の政治は民主主義からも正当化できません。

【3】殺傷武器輸出を認める岸田自公政権に対して

いま岸田自公政権が進めているのは主に「外国との武器の共同生産」で、イギリスとイタリアとの戦闘機の共同開発のために殺傷武器輸出を可能にしようとしています。今後、殺傷武器輸出に関する自民党・公明党の実務者協議が行われ、イギリスやイタリアとの政府間組織の設立に関する条約を年内に結び、来年の通常国会で承認を得ることを岸田自公政権は目指しています(『朝日新聞』2023年8月23日付)。

8月19日(アメリカ時間では18日)前後の日米首脳会談では、日米が新たに新型迎撃ミサイル「滑空段階迎撃用誘導弾」(GPI,Glide Phase Interceptor)を共同開発することで合意しました。

国民のための政治はせず、「戦争する国づくり」にはとても熱心なのが岸田自公政権の特徴です。

第2次岸田再改造内閣で、防衛大臣は木原稔氏に代わりました。木原稔氏は敵基地攻撃能力(反撃能力)保有や軍事費大増額、防衛装備移転三原則の見直しなどを決めた安保3文書の改定に与党実務者メンバーとして積極的に関与していました。そのため、「武器輸出に向けてルールの緩和やセールスを積極的に進める可能性がある」と指摘されています(『東京新聞』2023年9月15日付)。

こうした人物を防衛大臣にしたことでも、岸田首相が今後、どのような防衛政策をしようとしているのかも分かります。

そして『読売新聞』2023年9月26日付〔電子版〕では、「日英伊3か国は、次期戦闘機を巡り、共同開発機関を来年秋頃に発足させる方向で最終調整に入った。本部を英国に置き、組織のトップには日本人が就任する方向で調整しており、年内に正式合意する見通しだ。2035年度の配備に向け、民間の共同企業体(JV)と連携し、事業を加速させる狙いがある」と報じられています。

「聞く力」のない岸田氏に対抗するためには、「条約締結」や「条約の国会承認」前に、殺傷武器輸出を目指す岸田自公政権の危険性も社会に大きく提起することが必要です。